はなうらない

「人事に異動になったのも、どこまで、」

ガン、と缶をテーブルに置いた。
空の缶はよく響き、テーブルに傷が出来るかと思われるほど。

きょとんとした顔で、有明がこちらを見た。

「八橋さんは、きちんと仕事をする誠実な人で、私の同期でもあります」

籾野さんは起きない。

「八橋さんを侮辱するのは許しませんよ」

数秒後、有明が破顔した。

「はは、あはは」

ケラケラと笑っている。八橋さんも私もそれを見て、訝しげな気持ちを抑えられない。

「……大丈夫ですか?」
「お水持ってきます?」
「正武さんがさ、珍しく怒ったから」

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