はなうらない

どういう意味だろうか。
私は視線で尋ねる。

「いやほら、正武さんってどんなに挑発しても相手してくれなかったじゃん」
「挑発してる自覚あったんですか」
「八橋さん、聞いたらきっと喜ぶだろうな」

それを聞いて、途端に八橋さんの方を向けなくなった。

喜ぶ……かどうか。

「ね、八橋さん」

有明が話しかける。八橋さんが爽やかに笑い、立ち上がった。

「氷、持ってきますね」

私は膝を抱いて、顔を埋める。

「新婚かよ」
「辞めてください、本当に。有明さん、分かってやってるでしょう?」
「なんのことだか」

楽しげにカランカランとグラスを回して日本酒を飲み干した。

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