はなうらない
ずらりと並ぶ向日葵畑。地元では有名だけれど、車じゃないと来られないので、観光客も少ない。
近くの駐車場に車を置いて、畑へと戻る。
前を歩く八橋さんが少年みたいだ。
「すごいですね」
目を輝かせて、振り向く。私は笑ってしまった。
「どうして笑うんですか」
「八橋さんがすごく楽しそうなので」
「そうですか?」
「なんか、子供みたい」
立ち止まった八橋さんに追いつく。
「それは、正武さんがそうさせるんですよ」
静かに笑って、私の手首に触れた。
するりと指を微かに握り、離れる。