はなうらない

普通の人間に。

「面白がって近付いてきた女性は俺がそこまで面白い人間じゃないことに気付いてすぐ別れました。そしたら王子が別れたって噂が広まる」
「嫌だったんですか?」
「別に何とも思いませんでしたし、どうでも良かったです」

思いの外、投げやりな回答。
八橋さんは向日葵へと目を向けていた。

「去年の花火の日、正武さんが俺も同じだって言ってくれたの、覚えてますか?」

同じだと、確かに言った。
八橋さんが、自分の破局話を見世物にされていたのを、笑って聞いていたからだ。

嫌なら怒れば良い、と。

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