はなうらない

「でも、何とも思ってなかったなら愚問でしたね」
「いえ、ただ、その言葉がすごく」
「すごく?」
「嬉しかったんですよ」

はにかむその顔に、私の視線は取られた。
前言撤回。今日が終わらなければ良いのに。



向日葵畑を抜け、海沿いのベンチに腰掛けた。
砂浜や海辺では家族連れが海水浴を楽しんでいる。

私が作った簡易的なお弁当を広げる。

「向日葵のどこが好きなんですか?」

おにぎりを八橋さんに渡す。受け取って、アルミホイルをぺりぺり剥がした。

「花言葉が、憧れです」

よく知ってるなあ、と花屋の孫が感心してしまう。

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