はなうらない
この人が持つと何でも絵になるなあ。
ブランドものからこんな百円くらいのものまで。
しかも着てるもの、商店街で買った安いシャツだし。
「この前、蔵馬さんから連絡がありました」
「仕事ですか?」
「八橋さんのことで、です」
「あの人、よくわかりましたね」
「何かと鋭いですよね。じゃなくて」
のんびりとした返事。八橋さんは駄菓子屋の外のベンチで、夕日を眩しそうに受ける。
私はラムネから炭酸が抜ける音を聴く。
「これからどうするんですか?」
「んーとりあえず、仕事を片付けて」
「本当に辞めるんですか?」
その質問に、仕方なさそうな笑みを浮かべる。