はなうらない
自分の宿命から。
私は祖母の家を継ぐことに何も後悔はない。
運良く仕事もこちらで続けられているし、馴染むことも出来た。
結婚相手を漁っていたこともあったけれど、それも結局上手くいかなくて。
それでも、環境に恵まれた。何かを強制する人が周りにいなかった。
大人になっても、人生の何かを強いられるなんて。
「思い詰めすぎて、正武さんに会いたいなーと思ってたらここまで来てました」
「そんな軽い……」
「約束を反故してすみません」
「え?」
何の、と尋ねる前にこちらを見た。
「どこかへ遊びに行く約束です」