はなうらない
話が逸れに逸れてしまった。
「とりあえず、仕事の引継ぎをします」
同じことを八橋さんも思ったらしく、私の本来の質問に答えてくれた。
「上司には話を通したんですか?」
「これからです」
「家は決めたんですか?」
「これからです」
「先行き不透明すぎる……本当に大丈夫なんですか?」
にこにこ笑いながらそれに無言で返事をする。
大丈夫じゃなさそうだ。
「うちに来ますか?」
立ち上がりながら、家の方を示す。八橋さんが指の方向を見た。
「え?」
「家はありますし、私の給料で生活費二人分ならなんとかなりそうですし」