はなうらない
待って、強いて言えばって日本語間違ってるんじゃ。
返事のない八橋さんに戸惑い、ちらと窺う。顔を背けて、肩を小刻みに震わせていた。
これは一体、どっちの。
「八橋さん……?」
「す、すみません」
「また笑ってるんですか?」
「あの、正武さんの前で俺はただの人間なんだなと思うと面白くて」
よく言っている意味は分からないけれど、八橋さんが楽しそうにしているならそれで良いかと小さく息を吐く。
いや、本当は分かる。
普通に憧れる八橋さんを、私はもう特別扱いはしない。
「俺を、ただの恋人としておいてくれますか?」