はなうらない

手が触れる。手を繋ぐ。

最初は同期のペアだったんだけどな、と思い返す。
住む世界の違った人だったのに、こんな遠くまで来てくれた。

「私が貴方を守りますね」

一度俯いて、八橋さんは笑った。
泣きそうな顔で、笑った。










翌朝、八橋さんを駅まで送った。

「荷物少ないですね」
「元々財布ひとつで来ましたし」
「そうでしたね……」

仕事帰りの、鞄も持たない格好で。

でもあの時と比べれば、顔色はずっと良くなった。

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