はなうらない





麦前との旅行の計画を立てようと思っていた頃、ちょうど当人から連絡がきた。

『八橋さん、会社辞めるって!』

もしもし、も、お疲れ様、もなしの開口一番。
私は内容よりもそれに驚いて、一拍置いてしまった。

「あ、うん、知ってる」
『え、なんで!?』
「ええっと、この前、八橋さんが家に来て……」

同期で居た六年間より長い時間に思えたあの二週間を、思い出す。

麦前には八橋さんの動向を探る窓口にしてしまったので、きちんと話さないといけないと思っていた。
主任に知られて、清水さんにまで話が渡らないことを祈る。

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