はなうらない
八橋さんは少し上を見上げて考えた後、肩を竦めた。
「何が良いですかね。正武さんは何食べたんですか?」
「私はうどんです。たぬきです」
「じゃあ俺もたぬきにします」
てきとうだなあ。そう思っていると、エレベーターがきた。
人事部で見たことのある人が乗っていて、やはり八橋さんを見て驚いていた。
そりゃあね、さっき休みに行った人がもう戻ってくるなんてね。
「八橋さん、ちゃんと飯食いました?」
「まだ。研修?」
「はい、行ってきます」
八橋さんの後輩らしい。彼は私を見て「お疲れ様です」と降りて行った。