はなうらない
確かに上司が残業している前で颯爽と帰るわけにはいかないよなあ、と思う。
下野さんは「はよ帰れ」と言う先輩だけれど。
「よし、呼んでくるか」
「終わるまで待つので、大丈夫です」
「あれだろ、花火大会だろ。八橋も一緒か?」
どうして急に八橋さんが出てくるのか、と顔を上げる。
既に缶コーヒーは開けて飲み干されていた。早い。
そういえば営業に行くと早食いになるって言ってたなあ、警察官か。
「お前ら同期じゃん」
「確かに同期ですけど、特に約束はしてないです」
「えー八橋王子かわいそう。ハブにされて」
しているつもりは全くなかった。今もない。