はなうらない

祖母の花屋は都心から離れている。とても今の職場にも、この人の職場にも通えないだろう。

「あ、そうなんだ……」

ちょっと引いた表情。
あ、やっちゃったな。失敗。




「私の婚活がうまくいきません」
「この前の街コン相手はどうなったんですか」
「返信がきません」

顔を覆って、泣く真似をしてみた。こんこんと半個室の扉がノックされ、店員さんがくる。
おしぼりです、と渡される。

「それは社会人としてどうなんですかね」

八橋さんはメニューを開いて言う。

疲れているのだろうか。そもそも私のこんな話に興味がないのか。

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