はなうらない
八橋さんもグラスを置く。
まあ、確かに。独身じゃない男を前に、こんな話もできないわけだし。
「八橋さんは良い相手がいれば結婚できるじゃないですか」
「その相手がいないわけなんですけど」
「信号待ちとかで、ばったり隣に立った人と結婚できたら良いですよね」
テーブルに頬杖をつく。信号? と八橋さんは箸を差し出してくれた。
私はそれを有難く受け取って、シーザーサラダを取り分けた。
小皿を正面へ返す。
「横断歩道を前に、赤信号待ちをしてる時、隣に立った人と目が合って」
「結婚するんですか? 知らない人と?」
そりゃ、たぶん、それは最初は知らない人だろうけど。