はなうらない
何にしようか一瞬迷った隙を縫うようにして、携帯が震えた。液晶画面を見ると、珍しい。
姉からだった。
「もしもし、どうしたの?」
『ねえ今、会社?』
「うん」
無糖コーヒーに決めて、お金を投入。お盆はいつ来るのか、とか、そういう話だろうか。
頭の中にカレンダーを思い浮かべる。
それも、姉の言葉で消え失せた。
『桐江さんが倒れて、病院に運ばれたの』
ボタンを押す指が止まり、指先が少し白くなる。ボタンから手が離れなかった。
「え?」
『とりあえず病院に向かってる途中なの。また連絡するから』
電話の向こうで、『ねーママー』と子どもの声がする。