はなうらない

姉の娘だ。まだ小さいので、家に置いていくこともできないので一緒に連れて行っているのだろう。

『芹、聞いてる?』
「うん。お願い、します」

通話が切れた。当たり前だけど、電話の向こうから姉が消えた。
それが酷く、心細かった。

桐江さんは祖母だ。例の花屋を営んでいる。
あの人が倒れるなんて、ただの熱中症か何かだろう。
よく炎天下で草むしりをしたりする人だから。
きっと軽症で、何もない、はず。

心臓の嫌な高鳴りに、コーヒーを取るのを忘れてフロアに戻ってしまった。もう一度自販機へと行く。

私の買った自販機の前に、八橋さんが屈んでいた。

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