はなうらない

缶コーヒーを二つ取り出し、こちらを振り向いた。

「どうしたんですか」

目を丸くして、尋ねられる。
後に聞けば、私はこの時とても青褪めた顔をしていたらしい。

「それ、私のなんです。慌てて、忘れちゃって」
「そうじゃないです」
「無糖なら、」
「正武さんの顔色が悪いって話です」

腕を掴まれた。後退すらできない。八橋さんは至って冷静沈着で、私は喉の奥で止まっていた胃の内容物ではない、何かを吐き出してしまいそうになった。

代わりに、笑った。

「大丈夫です」
「大丈夫じゃないです」

少し被せ気味に言葉が投げられる。


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