はなうらない
顔を見上げる。八橋さんは私の腕を掴んだまま、心配している顔をしていた。
そうか、私は心配されてるんだ。
自分のことで手一杯で、周りがよく見られていなかった。八橋さんの掴む手に触れると、それは緩やかに離れた。
「何か大変なら、言ってください。正武さんの、力になりたいです」
文章を覚えたてのロボットみたいに話す。それが少し可笑しくて、今度は本当に笑えた。
「祖母が倒れたって、姉から連絡がきまして」
「……容態は」
「まだ分からないんです。それで少し、不安が前面に出てたんだと思います。すみません」
言葉にできて、誰かに話せたことで、私の心は少しだけ楽になった。