はなうらない
逆に、八橋さんの表情は晴れないまま。
「あの、花屋をやっている?」
「そうです。普段は元気なんですけど」
「行かなくて良いんですか?」
問われて、思考が立ち止まる。私はその選択肢を見ないようにしていた。
すぐそこに、そのカードはあったのに。
でも、私が行ったって出来ることは何もない。ここから電車で二時間。それよりずっと先に姉がつくだろう。
きっともうすぐ……。
握っていた携帯が震えた。すぐに液晶画面を見ると、姉からだった。
八橋さんはそこにいた。
私は姉の声を聞いていた。
通話を切る。