はなうらない
本当に呼びにきてくれた籾野さんに連れられ、会議室に入る。今日は部内の会議らしい。
出来る範囲でそれらの把握をして、稲村さんが送ったはずの引継ぎメールを読み込む。
「正武さんって本社勤務だったんですよね」
隣に座っていた人物が話しかけてくる。
「……どちら様?」
「同期の有明でーす」
「あなたが」
同じ部署に同期がいると麦前が言っていた。この人がそうらしい。
椅子の背もたれについた背中を見る。
「本社勤務でした」
「どうしてこっち来たの?」
「稲村さんの穴埋めで」
家の都合だと話したのは一部の人間だけだ。