はなうらない
ここで産休に入るのが少し早くなった稲村さんの穴埋め要員として、私はちょうど入ることが出来た。元の理由を話すのが面倒で、そっちを話すことにした。
「でも正武さんって穴埋めに寄越されるクラスの人間じゃないよね」
話は続いているし、姿勢はなっていないけれど、有明の指はキーボードを打ち込んでいる。
こういうスタイルで仕事をする人間なのかもしれない。
本社にいたら上司から椅子を蹴られる気もする。いや、それはパワハラになるのか?
「ただの、平社員ですけど」
「ふーん」
会話終了。
まあ良いか、と思いつつ私も引継ぎを再開しようとした。