はなうらない

知り合ってから今まで、八橋さんは婚約者として紹介された人と付き合ってきた。そんな話を聞きながら、違う星の下に生まれた人なのだと思っていた。

そういう運命を背負う人だと勝手に思っていたので、その人の口から「好きな人」というワードが出てきたことへの衝撃が大きい。

衝撃というか、ショックというか。

その時、私の頬が引き攣ってはいなかったか、とても心配だ。

「そうなんですね、応援してます」



……あれから一か月も経っていない。

「なんとか、やってます」

手元の財布の縫い目をなぞる。嘘ではない、実際なんとかやった。

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