贅沢な寂しさ ～身分違いの結婚

入社してすぐは　戸惑うことばかりで

先輩達に　迷惑をかけたことも　多いけど。


私の　会社が好きという　気持ちは　変わらなかった。


一か月の　新入社員研修の後

私は　総務課に　配属になった。


私に　仕事を教えてくれた　横山さんは

入社１０年の　ベテラン。


私の入社と　同じタイミングで

育児休暇から　復帰した　２児の母。


「総務って　色々な仕事があるから。全部　覚えようとしなくて　いいのよ。どんどん　新しい仕事も　頼まれるから。どうすれば　一番良いか　みんなで相談することが　大切なの。」

「私　要領が悪くて　気が利かないから。みんなに　迷惑かけてしまいます。」

「ううん。そう思えるってことは　気働きができる証拠よ。大丈夫。前田さんは　総務に向いているわ。」

「えー。まだ　１日しか経ってないですよ？」

「私には　わかるの。前田さん　ちゃんと　回りが見えるし。仕事が　丁寧だもの。焦らなくても　大丈夫。そのうち　自然と　慣れるからね。」


横山さんは　とても穏やかで　親切に

仕事を　一つずつ　教えてくれた。　


総務課の仕事は　裏方のような仕事だけど。

一般常識と専門知識の　両方が必要で。


私は　先輩達を　見ながら　夢中で仕事をした。