贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚
「明日香。俺と 結婚して下さい。」
悠樹は 私の肩に 手を置いて
私の目を 真っ直ぐに見つめる。
「えっ。結婚?」
「うん。俺 明日香と 結婚したい。」
「無理です… 結婚できるわけない…」
「どうして? 俺じゃ 嫌なの?」
「違う。私 悠樹さんには 相応しくないから。」
「何が 相応しくないの?」
「だって… 私の実家 普通の家だし。悠樹さんとは 釣り合わないから。」
「そんなことないよ。俺は 明日香がいいんだ。」
「でも 悠樹さんのご両親は 私じゃ 納得しないと思う。」
「結婚するのは 両親じゃなくて 俺だから。俺は 明日香じゃないと 嫌だ。」
「悠樹さんは 社長になる人だもの。私じゃ 社長夫人には なれない。」
「じゃ 明日香は 俺が 他の人と 結婚しても 平気なの?」
私が首を振ると 頬を伝う涙が 飛び散る。
「嫌だけど…すごく嫌。絶対に 嫌だけど… 私 諦めないと いけないの。」
「明日香…」
悠樹は 私を ギュッと抱き締めて
そのまま 私を抱き上げる。
寝室のドアを開け 私は ベッドに降ろされた。
私の目を じっと見つめる 悠樹の瞳は 熱くて。
「明日香。愛してる…」
私は 体を固くしたまま 小さく頷いた。