贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

レストランのフロアで エレベーターを降りて。

結愛の手を引いて 歩き出すと


「あっ。パパ。」

結愛は ロビーのソファに 悠樹を見つけて。

私の手を離して 駆け出した。


「結愛。」

駆け寄る結愛を 悠樹は 抱き上げる。

「パパ。結愛ね。昨日 パパに会えなかったから 寂しかったの。」

「パパも 寂しかったよ。結愛のこと 起こそうとして ママに 叱られたんだよ。」

悠樹と結愛の 恋人のような 再会シーンを

私は 笑顔で 眺めていた。


「んっ。明日香 綺麗だね。」

悠樹は 結愛を 抱いて 立ち上がり

横に立つ私に 甘く囁く。

「悠樹さん…?」


照れて 言葉が出ない 私の肩を

悠樹は 結愛を抱いてない方の腕で

そっと 包むように 歩き出した。


「悠樹さん ごめんなさい。無理言って。」

「いや。こういうの たまには いいね。昼休みだから 気を使うこと ないよ。」

「ええ。何か ワクワクしちゃった。」

「うん。俺も。結愛の提案に 感謝だね。」


悠樹の腕に 抱かれた結愛は 満足気な笑顔で。

私は 悠樹と見つめ合い 少し頬が熱い。


こんな気持ち 久しぶり…

私達 結婚して 7年も立つのに。


毎日 一緒にいて 子供だっているのに。

私は まだ 昔と同じように

悠樹に 恋をしている。




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