贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚
検査薬で 確認した後で
私は悠樹と 病院に行った。
初めて行った ベリーヒルズヴィレッジの 総合病院は
ホテルのような 豪華さで 私を圧倒した。
「おめでとうございます。出産は 4月ですね。」
産婦人科の医師は 穏やかな笑顔で 私達を見る。
私と悠樹は 笑顔で見つめ合う。
私達 親になるんだね…
まだ実感がない私は 不安も大きかったけど。
それでも 悠樹の子供を産める 喜びに震えた。
あまりつわりもなく 妊娠は 順調だった。
悠樹は 過保護なほど 私を労わり。
家にいる時は 積極的に 家事を手伝ってくれた。
「悠樹さん。そんなこと 私がするから。休んでいて。」
夕食の後片付けを しようとする悠樹。
驚いて 私が声をかけると
「明日香こそ 休んでいてよ。このくらい 俺だって できるから。」
「でも 悠樹さんは 副社長なのに。そんなこと させたら 申し訳ないわ。」
「そんなこと 関係ないよ。明日香のお腹には 俺の赤ちゃんが いるんだから。明日香こそ 無理しないで。家事は コンシェルジュに頼んで。ゆっくりしてよ。」
「もう安定期に 入っているし。少しは 動いた方が 安産になるって。先生が言っていたわ。」
「そうなの?明日香 出産 怖いでしょう。俺 ずっと側にいるからね。」
「えー。私 叫んだりするかも…恥ずかしいなぁ。」
「大丈夫。そんなに苦しいなら 余計に 明日香 1人で 出産させられないよ。」
どんどん 大きくなるお腹を
悠樹は 朝晩 撫でて…
私は 出産の不安よりも
早く赤ちゃんに 会いたかった。