贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚
予定日の 1日前 悠樹に 見守られ
私は 結愛を 出産した。
難産だった私は 丸2日 陣痛に 苦しんで。
私に 付きっきりだった悠樹は
私の苦しみに 驚いて 自分の無力を責めた。
「明日香 ありがとう。お疲れ様。」
やっと 結愛が産まれた時
私は 力尽きて 放心状態で。
悠樹は 感動と安心で 涙を流した。
「悠樹さん…ありがとう。」
「ごめんね。明日香ばっかり こんなに 苦しめて。本当に ごめんね。」
「ううん。悠樹さんが ずっと居てくれたから。私 頑張れたの。ありがとう。」
「明日香。結愛ちゃん 可愛いよ。ほら 見てごらん。」
タオルに包まれた 結愛は
顔をクシャクシャにして 泣いていた。
「結愛ちゃん…」
この小さな命が さっきまで 私の中に居た。
神聖な感情が 胸に満ちて。
私は 出産の苦しみさえ 忘れるほど
責任と感動に 震えながら 結愛を 抱き締めた。