贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

病室は ゆったりした広さの 個室で。


ホテルのような 豪華な内装は

病室だということを 忘れさせてくれる。


赤ちゃんは 出産の翌日から 母子同室になるけれど

ゆっくり休みたい時は 新生児室で 預かってくれた。


出産後は 想像以上に 忙しくて。

毎日 授乳指導や 沐浴指導があって。

出産で 消耗した体を 休める余裕もなくて。


これが 母親になるっていうこと?

子育ての 大変さを 身を持って 知っていく。


毎日 仕事帰りに 病院に来る悠樹。


「結愛ちゃん。パパだよ。」

面会時間いっぱいまで 結愛を抱いて 離さない。


「結愛ちゃんは 美人だね。こんなに お目目が大きくて。パパの顔 見えるかな?」

さっそく 親バカ振りを 発揮する悠樹を

私は 笑顔で 見つめていた。


「明日香 少しは 休めてる?」

「ううん。夜中も 3時間おきに 授乳だから。なかなか 眠れなくて。」

「家に帰ったら 夜のミルクは 俺が担当するからね。」

「駄目よ。悠樹さんは 仕事なのに。小間切れに 眠ることに だんだん慣れてくるから。私は 大丈夫よ。」

「俺も 育休取ろうかな…」

「フフフッ。悠樹さんが 率先して 育休取ったら 他の人も 取りやすくなるわね。」

「そうだろ?本気で 考えてみる?」

「止めて。冗談よ。そんなことしたら お義父様に 叱られるわ。」


私は 育児に 積極的に 参加しようとする

悠樹の気持ちが とても 嬉しかった。






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