贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚

幼稚園が終わる時間に 結愛を迎えに行って。

そのまま 結愛と一緒に 病院に戻る。


憲君の下校に 間に合うように

お姉様は 帰ってしまい。


お義母様は ベッドで 上体を起こしていた。


「お祖母ちゃま。大丈夫?足 痛い?」

結愛は お義母様に駆け寄る。


「結愛ちゃん。来てくれたの。お祖母ちゃんは 大丈夫よ。結愛ちゃんにも 寂しい思いさせちゃって ごめんね。」

「ううん。結愛ね。ママが来るまで 遊んでいたから。大丈夫だよ。」

「結愛ちゃんは お利口さんね。ちゃんと お留守番 できたの?」

「だって 結愛 もう年中さんだから。あっ。そうだ。結愛 お祖母ちゃまに お手紙書いたの。」


結愛は 通園バッグから お手紙を取り出す。


「はい。お祖母ちゃま。早く元気になってね。」

「結愛ちゃん。ありがとう。お手紙 見てもいい?」


お義母様に言われて 結愛は 笑顔で頷く。


『おばあちゃん はやく げんきに なってください。』

大きな字で 丁寧に書いた文字の横に

お義母様と結愛の 絵が描いてある。


「まぁ。結愛ちゃん 上手に書けているわ。ありがとう。お祖母ちゃん すごく元気が出たわ。」

お義母様は 笑顔で 結愛の頭を撫でる。

結愛は 少し はにかんで笑顔で

お義母様と私を 交互に見た。


「結愛ちゃん。本当に 優しい子ね。お祖母ちゃんも 嬉しいわ。」

結愛のお手紙を 何度も見ながら お義母様は言う。

「結愛ね。すごく心配したの。お祖母ちゃま 足が痛いと 可哀そうって 思って。」


結愛は 思いやりのある 良い子に育っている。

お義母様を いたわる結愛が 私は 嬉しかった。


「結愛ちゃん ホントに良い子で。明日香ちゃんが 一生懸命 子育てしていること よくわかるわ。」

お義母様は 私の方を向いて 優しく言う。

「そんな…みんなの おかげです。悠樹さんも とっても 協力的だし。」

「結愛ちゃんが こんなに 良い子だから パパも 可愛くて仕方ないのよねぇ。」


結愛の小さな手を お義母様は 握って言う。


「結愛も パパのこと 大好きだもん。」

「そうね。パパ 明日 帰ってくるからね。」

「早く帰れると いいなぁ…」


結愛の言葉は 私の思いと 同じ。

クスッと笑う私を お義母様に 見られて。


きっと 私の気持ちは お義母様に 見破られた。 






< 79 / 90 >

この作品をシェア

pagetop