贅沢な寂しさ ~身分違いの結婚
翌日は 結愛の幼稚園が 午前中なので。
私は 簡単なお弁当を 作って
結愛を迎えに行き そのまま 病院に向かった。
「お祖母ちゃま。こんにちは。」
ちょうど お昼の配膳が 始まった病室に
結愛は 元気よく 入っていく。
「お義母様。私達も 一緒に食べようと思って お弁当を持ってきました。」
私が お弁当を 広げると
「わぁ。美味しそう。ピクニックみたいね。」
1段目は 小さめに 握ったおにぎり。
2段目の おかずは 取りやすいように 小分けして。
3段目は 果物を 彩りよく。
病院の食事は 薄味で 物足りないって
前日 お義母様が 言っていたから。
おかずは 味付けに工夫して…
「明日香ちゃん。私も そっちで食べるわ。」
お義母様は 器用に 松葉杖を使って ベッドを降りた。
ソファの前のテーブルに 広げたお弁当を
お義母様と結愛に バランスよく 取り分けて。
「結愛ちゃんのママは お料理が上手だね。」
「お祖母ちゃま。このお魚も 美味しいよ。」
「結愛ちゃんは 何でも食べて 偉いね。」
2人の会話を 聞きながら
私も 結愛の隣で 一緒に食べて。
「明日香ちゃん。ありがとう。美味しかったわ。ねぇ 結愛ちゃん。」
「お口に合って 良かったです。」
「色々 手間をかけて 悪いわねぇ。」
「そんな…」
私は お義母様の笑顔が 嬉しくて。
悠樹を出産以来 入院したことがないと
お義母様は 言っていたから。
気丈に 振舞っていても きっと 心細いはず。
少しでも お義母様の 気分転換になれば…
「お祖母ちゃま。結愛 お絵描きしてもいい?」
「いいよ。結愛ちゃん こっちにおいで。」
お義母様の隣で 結愛は ノートを開く。
結愛が お義母様に懐いていることも。
お義母様が 結愛を 可愛がっていることも。
私の心を 温かい思いで 満たしていく。