戦国占姫
第十一話 将軍の女
どっと疲れが出た。一年分の仕事を終わらせたような疲労。
「なるほど・・・よく分かった。褒美をとらす」
(ホッ、良かった。無事に終わった)
退席する帝。笑顔だった。後日、役人の集合する前で、もらえるみたい。私はミツヒーデに連れられてホテルまで帰った。ホテル前では大臣がぐるぐると同じ場所を回っていた。何をしているのか分からなかったが、私の姿を見て安心していた。
「おー、無事だったか・・・心配していたのだぞ!」
「・・・ご心配おかけしまして申し訳ありません。無事、この通り帰ってまいりました」
私は大臣に頭を下げた。
「・・・まー、無事でなによりだ。帝との謁見で粗相をしなかったようだな」
打ち首になっていないか、不安だったらしい。ホッとしていた。
「・・・そうみたいですね。ちゃんと足がついています」
「・・・ヒミコ様、私はこれにて、失礼します」
「送ってくれてありがとうございました」
「また後日、迎えにきます」
会釈をするとミツヒーデは去っていった。
私は部屋に戻りながら、大臣と話をしていた。
「・・・それはそうと、何で手ぶらで帰ってきたのだ? ご褒美はいただけなかったのか?」
「後日いただけるみたい・・・役人達の前でね」
みるみる大臣の顔色が変わる。真っ赤な顔。
「・・・お、お前。いったい何をしたのだ!」
「私はいつもの占いをしただけよ!」
大臣は私が帝の前で粗相をしたのだと勘違いをした。
(失礼ね)
「・・・何を勘違いしているのか、分からないけど私は粗相なんてしていないわ。帝側から賜る品が用意出来なかったから後日となっただけよ」
「それならいいのだが・・・くれぐれも粗相をするなよ」
「分かってます。ご忠告ありがとうございます。それでは大臣、失礼します」
「・・・おう」
私は自分の部屋に入り、ドアをバタンと閉めた。
あっ気にとられた大臣はトボトボと自分の部屋へ戻っていった。
後日、私は「おめかし」をして出かけた。帝との謁見。執事、メイドを引き連れて参内した。護衛名目で大臣が勝手についてきた。祝ってもらうのは執事やメイドだけでいいのに・・・。これには大臣の思惑があった。帝側とパイプを作りたかったらしい。私をダシにして大臣はちょこまかと役人に挨拶をしている。こういうところが大臣のマメなところだ。こうしてコネクションを作っていく。ズル賢い猿。それがこの大臣の長所だ。人付き合いの苦手な私は尊敬をしてしまう。憎めない猿。
帝との謁見では執事、メイド、大臣であっても塀際まで下がらないといけない。私は中央にポツリと座らされた。
役人が書状を読む。
金銀財宝と宝剣。この都の一角に屋敷。羽根扇子に冠を賜った。メイドや執事達は泣いている。この時代では名誉なことなのだろう。私にはサッパリ、分からない。「偉くなった」ということなのだろう。大臣まで泣いている。
(・・・何で?)
執事やメイドなら「私のことを誇らしく泣いてくれている」と理解できるが、何故大臣まで泣いている。理解に苦しむ。
「・・・それとな」
帝が私に直接言いたかったらしい。
「特別に新たな称号を考えた。『占姫』と名づけた。これをソチに与えよう。・・・そうだな、位は護国将軍と並列だ! 皆の者、よいな」
「ははーっ」
私は役人達から頭を下げられている。
「占姫」だから単なる肩書きと思っていたが、私はいきなり将軍様となってしまった。
護国将軍・・・つまり国を守れと。
そんなのと同格なんて無理です。私は占うことしか出来ない女です。
どっと疲れが出た。一年分の仕事を終わらせたような疲労。
「なるほど・・・よく分かった。褒美をとらす」
(ホッ、良かった。無事に終わった)
退席する帝。笑顔だった。後日、役人の集合する前で、もらえるみたい。私はミツヒーデに連れられてホテルまで帰った。ホテル前では大臣がぐるぐると同じ場所を回っていた。何をしているのか分からなかったが、私の姿を見て安心していた。
「おー、無事だったか・・・心配していたのだぞ!」
「・・・ご心配おかけしまして申し訳ありません。無事、この通り帰ってまいりました」
私は大臣に頭を下げた。
「・・・まー、無事でなによりだ。帝との謁見で粗相をしなかったようだな」
打ち首になっていないか、不安だったらしい。ホッとしていた。
「・・・そうみたいですね。ちゃんと足がついています」
「・・・ヒミコ様、私はこれにて、失礼します」
「送ってくれてありがとうございました」
「また後日、迎えにきます」
会釈をするとミツヒーデは去っていった。
私は部屋に戻りながら、大臣と話をしていた。
「・・・それはそうと、何で手ぶらで帰ってきたのだ? ご褒美はいただけなかったのか?」
「後日いただけるみたい・・・役人達の前でね」
みるみる大臣の顔色が変わる。真っ赤な顔。
「・・・お、お前。いったい何をしたのだ!」
「私はいつもの占いをしただけよ!」
大臣は私が帝の前で粗相をしたのだと勘違いをした。
(失礼ね)
「・・・何を勘違いしているのか、分からないけど私は粗相なんてしていないわ。帝側から賜る品が用意出来なかったから後日となっただけよ」
「それならいいのだが・・・くれぐれも粗相をするなよ」
「分かってます。ご忠告ありがとうございます。それでは大臣、失礼します」
「・・・おう」
私は自分の部屋に入り、ドアをバタンと閉めた。
あっ気にとられた大臣はトボトボと自分の部屋へ戻っていった。
後日、私は「おめかし」をして出かけた。帝との謁見。執事、メイドを引き連れて参内した。護衛名目で大臣が勝手についてきた。祝ってもらうのは執事やメイドだけでいいのに・・・。これには大臣の思惑があった。帝側とパイプを作りたかったらしい。私をダシにして大臣はちょこまかと役人に挨拶をしている。こういうところが大臣のマメなところだ。こうしてコネクションを作っていく。ズル賢い猿。それがこの大臣の長所だ。人付き合いの苦手な私は尊敬をしてしまう。憎めない猿。
帝との謁見では執事、メイド、大臣であっても塀際まで下がらないといけない。私は中央にポツリと座らされた。
役人が書状を読む。
金銀財宝と宝剣。この都の一角に屋敷。羽根扇子に冠を賜った。メイドや執事達は泣いている。この時代では名誉なことなのだろう。私にはサッパリ、分からない。「偉くなった」ということなのだろう。大臣まで泣いている。
(・・・何で?)
執事やメイドなら「私のことを誇らしく泣いてくれている」と理解できるが、何故大臣まで泣いている。理解に苦しむ。
「・・・それとな」
帝が私に直接言いたかったらしい。
「特別に新たな称号を考えた。『占姫』と名づけた。これをソチに与えよう。・・・そうだな、位は護国将軍と並列だ! 皆の者、よいな」
「ははーっ」
私は役人達から頭を下げられている。
「占姫」だから単なる肩書きと思っていたが、私はいきなり将軍様となってしまった。
護国将軍・・・つまり国を守れと。
そんなのと同格なんて無理です。私は占うことしか出来ない女です。