ずっと、そばに

抵抗しても全く効果なく、すぐそこにあった大きな建物に連れていかれた。


ここは、私が小学生のとき通院していた病院…


消毒液の臭いがツンとして、
怖かったことまで,思い出してしまう。


熱のある中,注射や点滴を無理矢理されたこと

お母さんに

『病院で泣くなんて恥ずかしい。いい加減にしなさい』

って怒られた記憶などすべて。


そんな恐怖とっくに忘れていたはず。

なのに手が小刻みに震えて、男の人の顔も見れなくて目をギュッとつぶってしまう。


「ごめんね。病院怖いよな… 」


男の人は私の様子に気づいた。

何も言ってないし、話したって、
怖い気持ちなんてわかってもらえなかったのに…

手の震えは止まらないけど、
目を開けて男の人をジッーと見てしまう。



< 10 / 171 >

この作品をシェア

pagetop