ずっと、そばに
退院するときちゃんと来るって約束したから、
翔馬先生には申し訳ない。
だけど、どうしても出る気になれなくて電話が切れるのを待った。
私、翔馬先生との約束ですら守ってない…
私のこと真剣に考えてくれたのに…
優しい翔馬先生でも怒っていると思うし、
もう、合わせる顔がない。
翔馬先生にも、真緒さんにも。
それなのに…次は翔馬先生からメッセージが来る。
不在着信を知らせる通知の下に。
今、気づいたけど、私から翔馬先生に電話番号は教えてないから、Lineの通話機能で電話してくれたみたい
『陽菜ちゃん、どこにいるの?
今日の検診、陽菜ちゃんが来ないから心配だよ。もし、身体とか心が辛いなら俺が迎えに行こうと思うんだけど…だから場所教えて 』
責める言葉が1つもない
翔馬先生の優しさがぎゅっと詰まった文。
…助けてほしい。
でも、今は、病院に行くことも、居場所を教えることもできない。
会ってしまえば、優しさにすがって甘えてしまうから…
悪い子だから、困らせることしかできないから。
優しくされる資格なんてない。
私なんて邪魔にしかならない…
なのに完全無視はできなくて
Lineを開いて返信内容を考える。
『翔馬先生、ありがとう…
でも、病院にはもう行かない 』
送信するかしばらく悩んだけど、震えた指で送信ボタンを押した。
これで、私を助けようとしてくれる人はもういない…
これでよかったんだ。
そう思うのに、私の頬は濡れている。