ずっと、そばに
少し身の危険を感じてきた。
天気を考えれば、遊具で遊ぶ子どものはずがない。
それでも、稀に遊ぶ子もいるかもしれないけれど、
この足音は絶対違う。
大きな音だから、おそらく大人の男の人。
不審者か誘拐犯、最悪の場合殺されるかもしれない…
悪い人だったら私がどんなに抵抗したってかなうわけない…
心臓がバクバクさらに音をたてる。
誘拐でもされれば消えることができるかもしれないのに…
こんなところで暮らせないから、
実際消えてしまうしかないのに…。
まだ翔馬先生の優しさが忘れられなくて
どうにもならない恐怖に支配される。
こんなに辛いのに
迷惑な存在なのに
死んだ方がマシだと自分でも思うのに
どうして ?
ーカタン
ブルブルと身体を震わせ、ギュッと目を瞑るしかできなくなっていたいると、
遊具に人が触れる音までした。
「陽菜ちゃんっ……… 」
どんな人がいるかわからない、恐怖に怯えていると
聞き覚えのある声で名前を呼ばれた。
その声は翔馬先生の声だった…
目を開くと、傘もささずに姿勢を低くして、
遊具の中の私を覗きこんでいる翔馬先生の姿。