ずっと、そばに
「温かい……… 」
真緒さんの車に入った途端、温かい空気に包まれる。
翔馬先生といっしょに後部座席に乗ると、真緒さんはさらに暖房を強くしてくれた。
「陽菜ちゃん、服濡れていて寒くない? 」
「私は大丈夫……… 」
「じゃあ、これから翔馬の家向かうからね
今日は翔馬の家に泊まりな 」
私、翔馬先生の家に泊まるの?
帰る場所がないとしてもそんなの悪いよ…
「でも、翔馬先生の家なんて迷惑になる 」
ハンドルを握る真緒さんに言うと
翔馬先生がギュッと抱きよせてくれた。
片方の腕を私の体に巻きつけて、
もう1つの手で顔を撫でる。
「 陽菜ちゃん、迷惑なんて思うわけがないから。それに泊まるんじゃなくて、今日から俺の家にいっしょに住むの 」
「そんなの……… 」
「陽菜ちゃんが俺のこと嫌いじゃなければこれは強制」
私には拒否権がないみたいだけど、
翔馬先生の言い方はすごく優しいもの…
翔馬先生が好きだから、心の底から嬉しい。
でも、私と翔馬先生は他人
正直どうしていいのか分からなくなるし、
いっしょに住むなんて翔馬先生が何を考えているのか分からない。
「なんでっ…こんなに優しいの?
私、ただの患者だよ? 」
「陽菜ちゃんのことはただの患者だと思ってないから 」
えっ!?
ドキンッ
翔馬先生の言葉に思わず鼓動が高鳴って、言葉も詰まる
ただの患者じゃないって、
翔馬先生は私はどんな存在なの?
元気でお喋りな真緒さんも何も話さなくて、
沈黙の車内…
そんな中でも、翔馬先生の手は
身体にしっかりと絡みついていて
先生の家につくまでの時間がやけに長く感じた。