ずっと、そばに
「大丈夫、だけどお母さん、あいついるよ 」
弟が私を指さすと、お母さんまで眉間にシワを寄せながら、私の方を見る。
なんでそんな顔するの…?
私だってお母さんの子どもなのに。
こんなに嫌われて、私だって嫌になって出ていったのに
自分で思っていた以上に深く傷ついていたみたい。
「弘樹、あんな子放っておきましょう。
勝手に出ていったんだから。それより弘樹の風邪薬貰わないと。受験生なんだから 」
優しく弘樹の頭を撫でて手を引くお母さんを見て胸がギュッと締めつけられる。
なんで…?こんなにも扱いが違うの?
私なんて、風邪引いたって、熱出したって心配されたこともなかったのに。
頭を撫でるなんて一度もしてくれなかった。
たしかに私はいい子じゃない。
弘樹みたいに成績が良い優等生でもない。
でも、兄弟なのにこんなに差別されるなんて悔しい。
悔しくて悔しくて翔馬の手をギュッと握って二人の後ろ姿を眺めていると。
「陽菜のお母さんですよね。待って下さい 」
翔馬がお母さんを呼び止める。