ずっと、そばに
「陽菜、勝手なこと言って悪かった
けど、俺は実の母親でも、もう会ってほしくない。陽菜に辛い思いはさせたくないんだ 」
「ううん、翔馬は悪くないよ
私を助けるために言ってくれたんでしょ? ありがとう 」
翔馬の気持ちは痛いほどにわかる。
全部私を守るため。
私を想ってくれて、
翔馬に対しては感謝の気持ちしかない
ただ自分がよくわからない。
はっきり言ってあんな態度のお母さんや弟なんて嫌い。
なのになんで悲しい気持ちになるんだろう?
「私って、矛盾しているよね……… 」
ボソッと呟いてしまう…
その言葉に反応して、翔馬はベットに座っている私を後ろが包みこむ。
「そんなことないよ。
親に愛されたいと思うのは普通のこと。
それにいくら冷たくされたって陽菜のお母さんはあの人一人だけなんだから、
悲しくなる陽菜の気持ちは俺にもよくわかる。
でもさ、陽菜のお母さんはいくら俺が頼んでも、たとえ専門の機関に相談しても、陽菜のことは… 」
言葉を濁らす翔馬。
自分から翔馬の方にクルリ顔を向けると
とても悲しそうな瞳だった。
私の心の痛みを実際に体験しているかのような表情…
だけど、その数秒後には真剣なそんな目の色になった。
「俺は母親の変わりにはなれないし、親の愛し方とは全然違うものになる。
けど、俺が陽菜のずっとそばにいる。それは約束する 」
そう言って、キレイな小指が差し出す翔馬。