ずっと、そばに
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ………
規則的な電子音で目が覚めた。
嫌な匂いなのに、鼻にツーンと感じる消毒液の匂いがとても懐かしい。
ん………? 私、生きているの?
「 …陽菜… 」
小さく、私の名前を呼ぶ声がする。
まだ、ものすごく眠いのに、それがどうしても気になり、ゆっくりとまぶたを持ち上げた。
「おはよう、陽菜… 」
「……………」
入りこんでくる太陽の光と同時に
会いたかった人が私のことを優しい顔をして見つめていることがわかった。
翔馬………
私も愛しているその人の名前を呼びたかった。
でも、口には酸素マスク、鼻にはチューブ、
それから周りに置いてあるたくさんの機械からコードが伸びていて、
それがすべて私胸のあたりにくっついていて、とても話せる状態ではなかった。
それなら少し翔馬に触れたいな…
必死に手を翔馬の方に伸ばそうとする。
けれど、自分の意志では動かない手。