ずっと、そばに
「…たくさん泣いてごめんなさい。もう大丈夫。逃げたりしないから一人にさせて 」
「ごめん。それは、できないよ 」
「…なんで? 先生忙しいでしょ? 」
消え入るように小さくて弱々しい陽菜ちゃんの声…
医者としてやらないといけないこともあるし
なにより心配すぎて、ひとりになんてさせたくない。
今の陽菜ちゃんの言葉で拒否する理由もなんとなくわかってしまい、あえてこれ以上問いつめる必要はない。
きっと、入院したら家族や俺に迷惑かけるなんて、思っているんだろうな。
陽菜ちゃんは周りに気を遣いすぎだよ…
「俺は今日はあんまりやることないから大丈夫。それと怪我の消毒と診察もしてないから 」
「怪我…? 」
「さっき、転んだとき陽菜ちゃんは
おでこに怪我しちゃったの。ごめんね 」
陽菜ちゃんがバランスを崩したとき、
体を支えようと手を出したのに間に合わなかった…