ずっと、そばに
「ううん、先生は悪くないから、謝らないで。痛くないし平気だよ 」
「ありがとう。じゃあ傷、先に診るからガーゼ取るね 」
おでこに、そっと触れるとピクッと動いてしまう陽菜ちゃん。
こうやって医者に診られるのも苦手で
我慢してくれているのがよくわかる。
小学生のときも診察するのもひと苦労なほど
嫌がって泣いていた。
そういえば、さっき診察したときは拒否されなかった。
中学生になったからなのかって思ったけど
『翔馬先生だと平気』
と言ってくれた。
陽菜ちゃんにとって俺が少しでも安心できる存在なのかなって身勝手な想像かもしれない
それでも、自然と顔がニヤけてきてしまう。
「怖かったな。目瞑ってていいから動かないで頑張ろっか?」
「…うん 」
陽菜ちゃんが目をギュッと閉じてから、丁寧にガーゼを取る。
5cmくらいの真っ赤傷口
相当痛かっただろうな…
丁寧に縫ったから傷跡は残らないはず…
そこは少し安心した。