ずっと、そばに

「ありがとな。話してくれて。
陽菜ちゃんの気持ちもよくわかった

でもさ、体苦しいのに隠すのは止めよう。
もしかしたら、陽菜ちゃんにとっては嫌な治療をしないとならないときもあるけど、俺は辛いのを取り除いてあげたいから 」


「ごめんなさい。もう隠したりしない 」


私のことを頭ごなしに否定しないのに

ダメことはちゃんと教えてくれるから、
すんなりと受け入れることができた。



「陽菜ちゃんは、偉い子だね
それじゃあ、体温だけ測って 」


「…うん 」


翔馬先生の手から体温計を受け取る。


今までなら熱が上がらないように軽く挟んでいたのに

今日はしっかりと挟んだ。


その瞬間、後ろから温かい何かに包まれる。

翔馬先生が固定するかのように抱きしめていた。


「ちゃんと測っているよ 」


「分かってる。
陽菜ちゃんが小学生のときもこうしていたから、やってみたくなった 」


「もう小学生じゃないのに 」


もっと甘えたい気持ちがあっても、この状態が恥ずかしくて、つい可愛くないことを言ってしまう。

こんなの自分じゃないみたいだし、

昨日から生まれてから感じたことない、いろいろな感情までグルグルしているよ。



嬉しさ、安心感

それから、なによりドキッとして
胸が締めつけられるような気持ち…


いつものひとりぼっちの寂しさとは違う
心も満たされているのに

少し苦しい。


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