ずっと、そばに
そう頭の中で、翔馬先生の顔を思い浮かべ、お礼を言おうとした時、
タッ、タッ、タッ
どこからかそんな足音が聞こえた。
眠りかけていたのに、ハッと目が覚める。
こんなとこで誰かに見つかったら、
確実に病院に連れ戻される。
せっかく、あと少しで眠ったまま死ねるはずだったのに
慌ててすぐ近くにあった病院の敷地内のしげみに隠れた
だけど、どんどんこっちの方に近づく足音。
こんな真夜中に誰なの?
草をかきわけて、顔だけ出してみるとキョロキョロとあたりを見回す翔馬先生の姿
「陽菜ちゃん、いるなら出てきて 」
私を探している。
翔馬先生、一度家に帰ったはずなのに…
私が逃げだしたから病院から
呼び出されてしまったんだよね。
私が悪い子だから…、ごめんなさい
そんな申し訳ない気持ちはもちろんなんだけど、
もう1つの違う感情までもが出てきた。
いや、違う。
出てきたんじゃなくて、ずっと心の奥深くに隠れていた気持ちに
気がついてしまったんだ。