ずっと、そばに

「ごめんね。針さすよ。 力抜いたままにして 」


翔馬先生の声と同時に、
腕にズシリと重たい痛みが襲った。


「っ…痛いっ。やだ グスン…ヒック 」


どんなに泣いても、ガッチリ固定されているから、

もう耐えるしかない…のはわかっているしその上

この注射もっと痛くなるんだよね…


「陽菜ちゃん液入れるからもっと痛いよ 」


「もう、やっ ! 痛っ グスン…ワーン 」


痛くて痛くてもう泣き叫ぶことしかできない…。


「終わったよ、頑張ったね。よしよし 」


「ウッ…翔馬先生、やっ 」


針が抜かれた後も、腕がジンジン痛くて翔馬先生からプイと顔を背けてしまった…。


こんな態度、先生にとりたいわけじゃない…


だけど、針が抜かれた瞬間だけは

どうしても怖くて怖くてたまらなくて


信頼しているのに…自分の気持ちとは反対のことを…



< 58 / 171 >

この作品をシェア

pagetop