ずっと、そばに
「その翔馬が自分から好きになったんだし、本気なら陽菜ちゃんだって嬉しいと思うよ。陽菜ちゃん翔馬の前だと安心した顔するんだもん。だから自信もって 」
「自信なんてあるわけないだろ 」
俺といる時、陽菜ちゃんはリラックスしたような顔にはなる。
ときどき甘えてもきて可愛い行動もよくする。
でもそれは、陽菜ちゃんには頼れる人が周りにいないから。
小さい頃から誰かに甘えることができなかったからで、少しは信頼されている気はするけど、俺のことが好きとは違うような…
それに、さっき注射した後、
『翔馬先生、やっ…』なんて言われちゃったし…
すぐに機嫌は直してくれたものの、痛いことばかりする俺が好かれるなんて難易度が高いよな…
冷静に考えてみればみるほど、叶わない恋のような気しかしなくて、少し切ない…
ーバチンッ
シュンとしてしまうと、後ろから真緒に叩かれる。
「痛っ! いきなりなんだよ 」
「翔馬、そうやってウジウジしないの。男でしょ? 」
「別にウジウジなんてしてないから。
そんなことより真緒今日夜勤だろ? 」
「あっ、そうだった。
患者さんの病室このまま見回ってくるから
陽菜ちゃんのこと頑張ってね。
守ってあげられるのは翔馬だけだから 」
話を反らしてみるとくるりと身体を反転させて医局とは逆の方向に歩いていってしまった。