ずっと、そばに

頭で考える前に出てきてしまった言葉。


陽菜ちゃんの病気を完全に治すのは

今の医学では不可能に近いこと。

手術すれば今よりは良くなるものだけど、完治はできない。



でも、俺は


ただこの場だけ安心させる為に、
言ったわけではない。


陽菜ちゃんの涙を見ると胸がギュッと締めつけられると同時に、

涙を笑顔に変えたいって本気で思った。


「何があっても俺は陽菜ちゃんのそばにいる
陽菜ちゃんの病気が良くなるまで絶対見捨てたりしないから 」


そんなこと言ったって、陽菜ちゃんの不安が消えないのはわかっている。

でも少しでもその不安を小さくなれば…



検査室にまでいくと、
少し遠慮がちに陽菜ちゃんの手を包み込んだ


すると、細い指が俺の手に絡みつく。



「翔馬先生ありがとう
怖いけど、気持ちが楽になった 」



澄んだ瞳で、俺をのことを見つめてから、笑顔に戻る

陽菜ちゃんが愛おしくて、愛おしくて、

陽菜ちゃんへの恋心が、さらに胸の中で膨れあがった。


< 68 / 171 >

この作品をシェア

pagetop