ずっと、そばに
私、翔馬先生のことが大好き。
心の中で、そう確信してしまうと、
火がついたかのように顔が熱くなって、胸の鼓動が早くなる。
「陽菜ちゃん、体調悪い ?」
恥ずかしくなって、下を向いてしまうと、
翔馬先生の心配そうな声がした。
何でも分かってくれる先生でも、
私のこの気持ちには気づいてくれる訳はないよね。
気づかれてしまっても、逆に困るけど…
医者と患者という立場でなら、
いい関係を築けていると思うから、それを崩したくない。
翔馬先生は信頼できる私の“主治医”でいい。
だから、深呼吸して気持ちを落ちつかせてから、何事もなかったように、目線を上げる。
「翔馬先生、大丈夫だよ 」
「陽菜ちゃんの大丈夫は怪しいからな。
念の為聴診だけしよっか? 」
白衣のポケットから、聴診器を出す先生。
こんな風にいつも持ってるのか…
「絶対、しない。もう外出る 」
「こらっ、走らないの ! 」
翔馬先生から、逃げるように診察室から出て、廊下にいくと、腕を掴まれた。