ずっと、そばに
外に出ると、冷たい風が肌を刺す。
先生が握ってくれる手だけは温かいけど、もう片方の指先が冷えてきた。
「思ったより寒いな。風引かないようにね 」
「先生もね 」
「俺は大丈夫だよ。陽菜ちゃんもう手が冷えてるから家帰ったら温かくして 」
翔馬先生はさっきまでとは違う方の手を握ってそう言う
冷たい手が少しだけ温まってきた。
「先生、ありがとう。私もう行くね。バイバイ 」
もう少し、翔馬先生と手繋いでいたいけど、
先生だって仕事中で忙しいはず…
自分から手を離して、翔馬先生に手を振った。
「またね、陽菜ちゃん。何かあったら俺に相談して 」
さっきも言われた言葉が胸の中にスッと溶けこんでくる
こんな優しい言葉で見送られて、
泣きそうになったけれど、
冷たい風が涙を乾かしてくれた。
病院の門を出て曲がり角のところまでいくと
もう一度だけ振り返って、翔馬先生に大きく手を振った