救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
「・・・聖川さん、聖川さん」

誰かが光治に呼び掛ける声がする。

「手術は終わりましたよ。呼吸は苦しくないですか?ここがどこかわかりますか?」

麻酔科医の質問と、無影灯の光の眩しさに、ここは病院の手術室なのだと理解する。

「大丈夫です。ここは病院の手術室・・・ですね」

「手術は無事に終わりましたよ。頑張りましたね」

男性手術室ナースの言葉に

゛頑張ったのは俺じゃなくてあんた達だろ゛

と、思ったが体がだるくて突っ込むことができなかった。

酸素マスクをあてられて再び目を閉じる。

しかし、次に光治が目が覚めたときには個室に移動していて、モニターや点滴のポンプに囲まれた現状に驚きを隠せなかった。

「目が覚めましたか?今からあやめ先生を呼んできますね」

光治の側で点滴の確認をしていた男性看護師が、光治の反応をみて笑顔を浮かべ

「僕は受け持ち看護師の早川といいます。僕の他に3名の男性看護師が聖川さんの入院中のお世話を担当いたします」

と挨拶をしてくれた。

この病院の看護部は2交代制度を取り入れているらしい。

一人の人物が24時間付きっきりというわけにはいかない。

複数の看護師でサポートにあたってくれるのであれば心強いと光治は思った。
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