救われ王子にロックオン~溺愛(お礼)はご遠慮させて頂きます~
とはいえ、この理想郷といえる大病院に採用されるには、かなりの実績と能力その他にも実力者からの推薦などが必要となる超難関だった。

倍率は数百倍だと聞いている。

実際には魅力を感じても身の程知らずだと謙遜して、トライすらしようとしない医師が大半なので、全員が試験を受けるとなったら、採用される可能性の低さは尋常ではないと考えられた。

あやめは決して天才ではない。

童顔も、子供のように見える華奢な体型も、欠点とまでは言わないが、弱点にはなる。

コツコツ型の努力家で要領が良いのは長所だ。

あきらめない根性と負けん気の強さ、勘の鋭さがこれまでの経歴に一役かっていたのは認める。

ただひたすらに前を向いて走り続けた結果が今に至るのだが、そんなことは目の前の患者には関係のないこと。

゛やれることを精一杯にやる゛

そんなポリシーのもと、あらゆる厄災に、頼まれもしないのに首を突っ込んできたのだが・・・・。

ほんの少しの思いやり、そして大いなる医師としての使命感が、あやめの今後の人生に大きな波紋をもたらすとは・・・。

この時のあやめは、想像すらしていなかった。
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